第7章 囚われのお姫様
『……ヒミコちゃん……っ…。
みんな……圧紘、さん……っ。』
タワーの外では怒涛の如く鳴り止まない戦闘の音に…少しずつ崩れて壊れていく街並みに…不安な気持ちで押し潰されそうになり、瞳を潤ませるとそこからポロポロと涙が零れ落ちる。
「あぁ…そんなに悲しまないでくれ。
君を泣かしたい訳ではないんだよ…」
『…それなら…今すぐにこんな事…、
やめてくださぃ…。
私を…義爛おじさまを
みんなのところに帰して…ッ…。』
椅子に両手を縛られているため、涙を拭えずにいればそっとリ・デストロの指で涙を拭われ。
『…触らないでくださぃ…ッ!!
近寄らないで…。』
「…すっかりお姫様には嫌われてしまったな。」
涙を溜めた瞳でキッ…と睨み付けると、軽く笑いながら手を後ろに組みながらまたガラス張りの窓へと歩み寄り、高みの見物を始めるリ・デストロ。
そしてずっとノートパソコンをタイピングして何やらブツブツ言っているスケプティック。
「…そう、頭を持て。
C!胴を押さえ付けろ。Eは分倍河原を…」
「分倍…?何をしている…」
スケプティックの言葉に義爛おじさまが反応する。
「話しかけちゃぁ駄目だよ。
トガ、分倍河原の処理中だ。
彼の異能は操り人形を作る。
分倍河原型の人形を操作中だからね。
我が社のマイクロデバイスと彼の構築した
通信システムで操り人形を
精密操作しているんだ。」
義爛おじさまの頭をグリッと掴み顔を捻ると淡々と語るリ・デストロ。
「分倍河原の心的外傷はな、
おまえの顧客データから得た情報だ。
悔しいか?悔しいなブローカー。
トガは殺し、トゥワイスは頂く…」
「(分倍河原にとっちゃ…そりゃ…
ダブルでキツイ話だぜ…。)」
表情こそ見えないが愉快そうに話すスケプティックに歯を食いしばる義爛おじさま。
『…トゥワイスさん…っ…ヒミコちゃん…っ…。
ぃや…っ…みんなを…傷つけないで…っ…』
今、人質として囚われているこの状況にどうする事もできないもどかしさにただただ敵連合のみんなの無事を祈る事しかできない自分に悔しさや、きっとこの戦いで傷だらけのメンバーの姿や、色んな想いが込み上げてまた涙をポロポロと零す。