第7章 囚われのお姫様
「ぇぇ〜〜〜〜〜〜〜……や。」
気月のインタビューに拒絶を示すトガ。
それからというのも、気月の異能【地雷】で一方的に爆破攻撃を受け、可愛らしいトガの顔も血まみれでボロボロになり…。
私はちっとも不幸じゃない…!
嬉しい時にはニッコリ笑うの。
あなた達が好きな人にキスするように……
私は好きな人の血を啜るの。
私は不幸なんかじゃないの!!!
ボロボロに…フラフラになりながらも最後の力を振り絞って、以前接触した時に採取しておいた大好きな雄英高校ヒーロー科の麗日お茶子の血のストックを啜ると彼女に変身するトガ。
トガが恋心を抱いている同じく雄英高校ヒーロー科の緑谷出久からとても信頼されている麗日お茶子。
そんな彼女に少しでも近付きたくて変身をしたが、もうすぐ訪れる自身の最期に…死への恐怖がトガの個性を伸ばし…ーー。
変身しか出来なかったトガの個性が覚醒し、変身したお茶子の個性【無重力(ゼログラビティ)】が使えるようになり…。
「…私は恋して生きて普通に死ぬの。
私はもっと“ 好き ”になる…!!」
お茶子の無重力で触れた気月を浮かばし、上空から解除すれば地面に突き落としてトガは命拾いをした。
そのままフラフラと近くにあった家の物置へ身を潜め、そこで力尽きた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…トゥワイスがトガと合流。
池田さん家の物置にいます。」
リ・デストロの側でノートパソコンを軽快にタタンッ、タタンッとタイピングしている黒髪の長髪の男の人。目が前髪で覆われていて表情が全然見えてこない…。
彼の名は近属友保。大手IT企業 Feel Good Inc. 取締役。解放コード、Mr.スケプティック。異能【人形(ひとがた)】。
「…トガ、まだ生きてます。
キュリオスの為にもトガには確実に死を…」
『…ーーッ……!!』
Mr.スケプティックの言葉にバッと顔を上げて彼を見つめる。
『…ヒミコちゃん…ッ、ぃや…いやぁ…ッ、
ヒミコちゃんを殺さないで…ッ……
……お願ぃ…ッ!!』
「……、落ち着けぇ。
大丈夫だ、あの子はこんな事で
死にやしねェさ…。」
取り乱す私を落ち着かせるように穏やかな声で言う義爛おじさま。