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《赤井夢》Happiness{R18}

第56章 返事 ✴︎










諸「なぁ、みんなは今まで出会った人の中で
また会いたいなって思う人はいる?」

「ん?急にどうしたんだよ、ヒロ。」


諸「いや…最近料理を始めた頃の事を思い出してさ。
ハマるきっかけになったのが1人の女の子だったんだよ。
今はどうしてるのかなーとか考えちゃって…」


松「おっ?なんだよ諸伏、お前の初恋か?」


諸「ははっ、違うよ松田。出会ったのは2年前だから
俺は大学2年でその子はまだ中学2年生。
恋とかそんなのじゃないよ。」


松「ちぇっ、なんだよ…面白い話が聞けると思ったのに。」


「昔出会った女の子にまた会いたいって思ったのか?」


諸「うん。その子と会ったのは近所の公園で…
俺が公園のベンチに座って読書してたら、5歳くらいの子供が迷子になったみたいで泣きながら公園に入ってきたんだ。
すぐに読んでた本を閉じてその子供に駆け寄ろうとしたらさ、
近くを歩いてた中学生の女の子が俺より先に
泣いてる子供に声をかけてたんだよ。」


萩「へぇー。なぁなぁ、その女の子、可愛かったか?」

松「てめーはそればっかだな、萩…」

萩「えー?陣平ちゃんも気にならない?」

松「ならねぇよ馬鹿!」


「…ヒロ、それでその後はどうなったんだ?」


諸「あ、あぁ…その女の子は泣いてる子供を一生懸命あやしてて
それでもなかなか泣き止まないから
女の子は持ってた鞄からお菓子を取り出してあげてたよ。
調理実習で作ったらしいチーズケーキをね。」


「それでその子供は泣き止んだのか?」


諸「うん。すごく美味しいって笑ってた。
でも子供を泣き止ませたはいいけど、
その後どうすればいいのか分かってなかったみたいだったから、俺が声かけて警察呼んだりとかの対応をしたんだ。」


「じゃあその子供の親はすぐ見つかったんだな?」


諸「少しの間公園で待ってたら親が迎えに来たよ。
子供を見送って安心したら、俺すごく腹が減っちゃって
空腹の音をその女の子にも聞かれてさ、
そしたら俺にも子供にあげてたチーズケーキを分けてくれて…
それがすっごく美味かったんだよなぁ。」


松「なんだよ、普通にいい話じゃねーか。」

諸「悪い話なんて言ってないよ…」





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