第55章 再会
「…お前も気付いたんだよな?
あの梓というポアロの店員が…組織の一員だと…」
『うん……。でもあの人、
昔アメリカで会ったシャロン・ヴィンヤードと同じ言葉を言ってて…』
「そのシャロン・ヴィンヤードは
娘のクリス・ヴィンヤードの変装…同一人物で
以前話したコードネームがベルモットという組織の人間だ。」
『えぇ!?』
な、なんでアメリカの女優が組織の一員なの…?
分からない…
同一人物だと言われても、シャロンは亡くなってるってニュースで見たし、実は生きてたってことなの…?
クリス、という女優は最初からいなかったって事…?
まさか江戸川くんや灰原さんが飲んだ薬で
同じように若返っている…とか?
『うーん……』
「お前を混乱させるかもしれないと思って黙っていたんだ……悪かった。」
『謝らなくてもいいんだけどさ…
話を聞いても全然分かんなくて混乱してるのは合ってる…』
「だろうな。」
すぐに納得されるのは
さすがにちょっとムカつくよ赤井さん…。
『あとさ…
安室さんが何度か昴さんのこと睨んでたけど…
大丈夫?探られたりしてない…?』
「心配するな。俺の正体がバレたとしても
お前に被害が被ることはないはずだ。」
…私が心配してるのはそういう事じゃないんだけどな。
赤井さんはいつもそう。
自分の事より私のことばっかり気にかけて…
本当に優しすぎるんだから…。
そう思っていると、私のアパートに到着し
送ってくれた事に対してお礼を伝えた。
そしてもう一つ…報告する事があったから
赤井さんの方に体を向けた。
『あの、ね…安室さんのこと…なんだけど…』
「……あぁ、そういえば何か話していたな。」
『うん…あの人に少し話があって…
今度の休みにポアロに行くって伝えたの…。』
「そうか…」
告白の返事をする為、とは言えなかったけど
何となく赤井さんは気付いているような感じだった。
「俺も…お前に話しておきたい事があるんだ。
安室くんに会った後、家に来てくれるか?」
話……?
まさか別れ話…とかじゃないよね…!?