第55章 再会
「…また変な事を考えているだろう。」
『!?か、考えてないよ!!』
「本当か?一応言っておくが、別れ話ではないぞ。」
『!!』
なんで私の考えてる事分かっちゃうの!?
やっぱり赤井さんって
私の心を読む特殊能力を持ち合わせているんじゃ…
「お前……本当に分かりやすいな。
いい加減変な妄想するのはやめろ。」
『だっ、て…
改まって話があるって言われると…つい…』
「全く…。いいか?
俺はこの先一生別れ話などをする気はない。
分かったか?馬鹿女。」
『うぅ…分かった…。
でも別に疑ってるわけじゃなく…て…っ、!!』
自分が馬鹿である事を申し訳なく感じながら赤井さんの方に顔を向けると、赤井さんは運転席のシートベルトを外し
私に顔を近づけてきた。
『あ…の……赤井さん…?』
突然昴さんの整い過ぎている顔が近くにある事に戸惑っていると、両眼の翡翠色の瞳と目が合った。
「安室くんとのこと…カタがついたらちゃんと話せ。
…俺は気が長い方ではないんでな。」
『う、うん…分かってる…』
「フッ…いい子だ。」
『っ、ん…』
赤井さんの言葉にドキドキと早くなる鼓動を感じていると
甘くて優しいキスをされていた。
目を閉じると赤井さんの舌が私の口内に入ってきて…
車の中でこんなキスをしてたら外から見られてるかもしれないのに、赤井さんの唇も舌もすごく柔らかくて…
私達はしばらくの間、夢中でキスを繰り返していた。
「美緒……早くお前を抱きたい。」
『っ…』
キスの合間にそんな事を言われて
私の鼓動はますます大きな音を立てていた。でも…
『えっと…もう夜遅いし、明日も仕事、で…』
「分かってる…
だがこのままキスをしていると我慢出来そうにない…早く家に入れ。」
っ、自分からキスしてきたくせに
私のせいみたいに言うなんて…!!
それにこんな甘いキスされたら
私だって我慢するの大変なんだから!
『…赤井さんのばか。』
「お前には言われたくないな。」
『っ、おやすみ!!』
意地悪な赤井さんを睨みながら車を降りたけど
私を見送る赤井さんは楽しそうに笑っていて…
笑う顔もカッコ良すぎて
ニヤける顔を必死に抑えながら私は自分の部屋に向かった。