第55章 再会
『あ…そういえば、この前ポアロでたくさん余ってたカボチャって全部消費できましたか?』
梓「…あー…はい!もちろん。
安室さんにも協力してもらいましたからね!」
…今日は榎本さんもなんか変だ。
カボチャを消費するために
私がレシピを教えて手伝った事を忘れてるみたい…。
それに私達が話しているところを
江戸川くんが榎本さんを睨みながらジッと見てるし…
『あの…榎本さん、』
高「すみません、梓さんも字を書いて下さい。」
「あ、はーい!」
『…。』
いつもと様子が違う榎本さんに話をしようとしたら
高木刑事に呼ばれて榎本さんは私から離れて行き
字を書き終えた彼女は
安室さんとコソコソ何かを話していた。
まさかあの人…
榎本さんとは別人なんじゃ…?
…だめだ、
頭が弱いのにこんな事を考えると頭痛がする。
ただでさえ気分が悪いのに
これ以上悩むと頭から煙が出てきそう…
頭を抱えて項垂れていると
私の元に再び昴さんが近づいてきていた。
「美緒、待たせて悪かったな。」
『へっ…?あ…それじゃあ…』
「ああ、ようやく事件の真相にたどり着いた。
もう少しだけ待てるか?」
…そう話す昴さんは
綺麗な翡翠色の瞳を私に見せて微笑んでいた。
こうやって事件の謎が解けた時に笑う昴さんって
めちゃくちゃカッコいいんだよね…
それに赤井さんの瞳に見つめられると
私の心臓はいつもドキッと高鳴っちゃう…。
「お前はこのままここで待ってろ。
後で家まで送るからな。」
『うん…ありがとう、昴さん。』
私の頭をクシャッと撫でた昴さんは
安室さんと共に警部さんの元に行き、真相を明らかにすると話していた。
江戸川くん達も全員でホールの中に入っていくのを見送った私は
しばらく座ったまま待っていると
波土さんのマネージャーの女性が警察に連行されていった。
『…あの人が…犯人だったんだ…』
とても悪い事をする人には見えなくて驚いていると
昴さん達も揃ってホールから外に出てきて…
事件が解決したことに安心していると
安室さんが昴さんに声を掛けていたけどすぐに話は終わったようで
安室さんは出口の方に向かって歩き出し、私は彼の後を追って声を掛けた。