第55章 再会
side 安室
まさかこの会場に
沖矢昴だけでなく美緒さんも来てるとはな…
先日は勢い余って彼女に告白をしてしまった為
美緒さんは僕の顔を見たら
明らかに気まずそうにしていた。
今日は組織の任務で
梓さんに変装しているベルモットと共にこの会場に来たんだが…
沖矢昴と一緒にいる美緒さんは
あまり見たくなかったな…。
ベ「ねぇ…あなたあの子と何かあったの?
彼女、ちょっと様子が変だったけど…」
「いえ、何も?
ただ先日ちょっと口論しただけです。」
「そう…ならいいけど。」
言えるはずないよな…
彼女が赤井の恋人で、僕が惚れてる女性だなんて…
そんな事をこの女に知られたら
僕がスパイとバレた時、美緒さんが人質にとられる可能性だってある。
正体がバレるヘマはしないが
ベルモットには…組織の人間には、僕の弱みを絶対に知られるわけにはいかない。
園「んじゃ、私達は先に帰りますね〜。
あとは大ファンの皆さんでごゆっくりー。」
園子さん達が帰ろうとしているところを見送っていたその時…
『キャーーーーーー!!!!』
「「「「!?!?」」」」
トイレのある方向から悲鳴が聞こえてきて
それは間違いなく、美緒さんの声だった。
園「ちょ、ちょっと今の悲鳴…」
蘭「若山先生…だったよね…?」
突然の悲鳴に驚いている蘭さん達の会話を聞いていると
僕よりも先に走り出した男がいた。
「美緒…ッ」
彼女の名前をぼやいた沖矢昴は
悲鳴が聞こえた方向に走り出し、
僕やベルモットも後を追いかけた。
美緒さんの元に辿り着くと
彼女はホール会場の扉の前で顔を真っ青にしながら立っていた。
「美緒さん!どうしたんですか!?」
『っ、す、昴さん…あ……あ、れ…』
彼女は開いた扉の中を震える手で指差しており
僕達も中を覗くと、ロックミュージシャンの波土禄道が
ステージ上で首を吊っている姿が目に入った。