第55章 再会
「てっきりここに来るのは園子さんだけだと思っていましたが…まさかあなたまで来ているなんて驚きましたよ…沖矢昴さん?」
「…お久しぶりですね、安室透さん。」
あああ…
なんか2人の間に異様な空気が流れてる気がする…!
蘭「?どうしたんですか若山先生、
顔が引き攣ってますけど…」
『っ、ううん…なんでもない…』
まさか言えないよね…
安室さんとは告白されたから気まずいし
昴さんは赤井さんの変装で2人は敵対してるなんて…
「美緒さんも来ていたんですね?
お久しぶりです。」
『ど、どうも…。
あ…わ、私ちょっとトイレに行ってきます…』
安室さんからいつも通りの挨拶をされたけど
あまりの居心地の悪さに耐えられなくて
私は逃げるようにトイレに向かった。
『はぁー…安室さんが来るの分かってたら
絶対来なかったのに…』
ため息をつきながらトイレに向かう途中
客席に通じるであろう扉が視界に入り、私はそこで足を止めた。
『波土さん…まだ歌詞を作成してるのかな…?』
プロのロックミュージシャンが歌詞を悩んで書いてるところ……ほんの好奇心で見たくなった。
『ちょっと覗くだけなら…いいよね…?』
周りに誰もいない事を確認してから
音を立てないようにゆっくりと扉を開けた。
ドアの隙間から中を覗くと、そこは客席の横側で
私は波土さんがいるはずのステージ前方へと目を向けた。
『っ、え……』
私の目に映ったのは
真剣に歌詞を書いている波土さんではなく…
ステージの照明から吊るされたロープで
首を吊っている波土さんの姿だった。
『キッ…キャーーーーーー!!』
初めて見る、人が首を吊っていたその姿…
驚きと共に恐怖を感じて、私は大きな悲鳴を出していた。