第54章 放心
園「まぁ、昴さんに限って浮気はないよね!」
「それは勿論。…それで浅香、という名前の人に
心当たりはありますか?」
園「うーん…。あ、そういえば
ロックミュージシャンの波土禄道が
今度出す新曲のタイトルが"アサカ"だよ?
何か17年も前に作った曲にやっと歌詞をつけて
今度のライブでお披露目するらしいから。」
園子ちゃんのその話を聞いて
江戸川くんが過剰に反応しているようだった。
蘭「でもそのタイトルって変わってたよね?」
『変わってるって…何が?』
園「アルファベット表記でネットに載ってたんだけど
"アサカ"の"カ"の字が、"KA"じゃなくて"CA"だったんですよー」
「「!!」」
確かにその表記は珍しいかも、と思っていると
昴さんも少し驚いているようで…
江戸川くんはそのアルファベットが"CA"だった理由を
園子ちゃんに問いただしていた。
コ「絶対何か理由があるはずだよ!!
思い当たらない!?」
園「そんなに知りたいなら本人に聞けば?
今度ウチら、波土禄道のライブの前日にやる
リハーサルを見学に行くから、連れてってあげるよ。」
蘭「少しくらいならお話しできるかもね?」
コ「ホ、ホント!?」
波土禄道って、確かに有名なロックミュージシャンだけど
蘭ちゃんも園子ちゃんはファンの年齢層からかけ離れてる気がするのに、ライブのリハーサルに見学に行くほど好きなんて……
今時の女子高生は幅広いジャンルの音楽が流行ってるのかな…?
心の中で不思議に思っていると
昴さんもそのリハーサルを見学したいと園子ちゃんにお願いをしていた。
「実は僕、波土禄道の大ファンなんです。」
…そうだったの!?
いや、でも待って。赤井さんが音楽聴いてるとこなんて
一回も見た事ない……。
…ってことは、仕事の一環?
リハーサルに行くことが決まったところで
再び掃除を再開することになり、私は昴さんにコソッと話しかけた。
『ねぇ昴さん、波土禄道のファンって本当…?』
「いや、名前くらいは知っているがファンではない。」
…やっぱり嘘だった。