第54章 放心
その日は結局
赤井さんはそのまま泊まっていってくれて、翌日の朝を一緒に迎えた。
私の体調も1日経つとすっかり良くなり、学校に出勤することができた。
いつも通り歩いて通勤できるって言ったのに
赤井さんは車で学校に送ってくれて…
さらには帰りも迎えに来ると言い出し
それは流石に悪いので丁重に断った。
心配してくれるのはすごく嬉しいけど
赤井さんだって忙しいはずなのに私の事で大変な思いはして欲しくないんだ。
でもそう伝えたら…
「恋人の心配するのは当然だろう、
俺は仕事なんかよりお前の方がよっぽど大事だ。」
…って真剣な顔で言われて
甘くて優しい赤井さんに私はノックアウト寸前だった。
そんな朝のアパートでの会話を思い出し
ニヤケそうになる顔を必死に抑えながら、
なんとか1日無事に授業を終えることができた。
私が体調不良で休んだことで
他の先生達もすごく心配してくれていた。
まぁ、休んだ理由が生理痛だったことは
男性である教頭先生達には恥ずかしくて言えなかったから
そこは適当に誤魔化して、黙っててくれた小林先生には何度もお礼を伝えた。
それから数日が過ぎると生理痛はほぼ無くなり
赤井さんに掃除を頼まれていた週末を迎え
定時で仕事を終えた私は工藤邸に向かった。
合鍵を使って屋敷の中に入ると
書斎の方から話し声が聞こえてきて
玄関で靴を脱いでいると、昴さんが私を出迎えてくれた。
「悪いな、仕事終わりなのに来てもらって…
もう体調はいいのか?」
『うん!すごく元気だよ。
それより遅くなってごめんね!すぐに掃除手伝うから!』
服を腕まくりしながら書斎に向かうと
エプロンと三角頭巾をつけた蘭ちゃんと園子ちゃんが書斎の本棚を掃除していて、江戸川くんも本を棚から出すのを手伝っていた。
園「あ!若山先生!」
蘭「お久しぶりです!
先生も掃除の手伝いに来てくれたんですか?」
『うん!昴さんに頼まれたから手伝いに来たよ!』
久しぶりに会う女子高生2人は相変わらず元気そうだった。