第52章 親友 ✴︎
「高校2年生の時…
美緒が男にモテているのが気に入らない女達から
ひどいイジメを受けていた事があったんです。
美緒の友人だった私も巻き添えをくらいました。」
「それは…辛かったですね…。」
「いやいや、私は全然平気でしたよ?
美緒がいてくれたし
女の嫉妬なんていちいち相手してたらキリがないので。」
…美緒から少し聞いていたが
この女性はかなり気の強い性格のようだ。
過去にいじめられた事を話す様子からしても
全く気にしていないように見える。
「でも一度だけ…
私がいじめの被害で怪我をした事があったんです。
女の1人に突き飛ばされて、尻餅をついた時に手首を捻って捻挫しちゃいましてね?
私は美緒に余計な心配をかけたくなくて
いじめられてた事をずっと黙ってたんです。
あの子も陰で尻軽だとか淫乱だとか陰口がひどくて
私より悪質ないじめをされていましたから。」
…あいつそんな酷い目に遭わされていたのか。
過去の話だとしても、美緒を虐めていた女達に対して
怒りの感情が湧き上がってきた。
「流石に怪我をしたのは隠し切れなくて
美緒に詰め寄られたから白状しました。
そしたらあの子、何したと思います?
今まで自分が虐められてる時は女達に全くやり返さなかったのに、私を突き飛ばした女のいる教室に乗り込んで
その女にいきなり平手打ちかましたんですよ。」
「!!」
あの美緒が平手打ち…?
普段はとても穏やかで、あまり怒りを露わにしないあいつが?
そんな美緒は想像出来ず、
心の中で驚いていると、彼女は話を続けた。
「虐められてる事を白状したら
私も美緒にすっごく怒られたんです…
"私のせいで虐められてたのになんでずっと黙ってたの!?
私達友達でしょ!?”って…
私にそう怒鳴るとすぐに1人で教室に乗り込んでました。」
「…ははっ、その言葉は美緒さんらしいですね。」
あいつが友達思いなのは知っていたが
それはやはり昔からだったんだな…