第52章 親友 ✴︎
side 赤井
美緒の親友という女性を紹介され談笑していたところで、あいつの携帯に同僚の教師から電話がかかってきた為、
テーブルの席には俺とその女性の2人きりになった。
「紗栄子さん、私に何か話があるんですよね?」
「…どうしてそう思ったんですか?」
「何となく…でしょうか。」
美緒が外に出て行くと顔付きが少し変わったから
何か言いたいことがあるのだろうな、とすぐに分かった。
「昴さんはあの子の事、本当に好きなんですよね?」
「それは勿論。
その質問の意図をお伺いしてもいいですか?」
彼女は目線をずらして少し考え込んだ後、
再び俺の方を向き口を開いた。
「美緒と私は高校の時からの付き合いなんですけど
あの子は昔から男の人に興味を示さなかったんですよ。
だから彼氏ができたって聞いた時は
変な男に引っかかったんじゃないかなって心配だったんです。」
「…。」
「美緒を信用していないわけじゃないんです…
あの子が選んだ人だから、もちろん応援したいと思ってる。
私は美緒が不幸になるところは…見たくないから…」
「…どうしてそこまで美緒さんの事を?」
昔の美緒を知っている友人だから
俺の知らないあいつの過去も彼女は沢山知っているんだろう…それがどう関係しているか疑問に思った。
「美緒は昔からあんな感じで
誰にでも優しくて、ふわっとしてるから可愛くて…
高校の時はすっごくモテてたんですよ?
私が知ってるだけで…20人には告白されてたかな?」
「…。」
それは面白くない話だな…
あいつが可愛いのは分かっているが
過去に他の男達から人気があったと聞かされて
嫉妬心がじわじわと溢れ出て来てしまう……。
「でも美緒は、告白されても全て断ってました。
彼氏がいた事なんて一度もありませんでしたよ。」
確かに美緒は初めて体を重ねたのは俺が相手だったし
それは本当の話なんだろう。