第51章 欲求 ✴︎
「…美緒?」
『赤井さん…ありがとうございます。』
「礼を言われる事などしていないだろう…」
『ふふっ、じゃあそう言う事でいいです。』
「なんだそれは…お前は相変わらず変な女だな。」
何度言われたか分からないそのセリフ。
赤井さんに変だと思われても幸せに感じるなんて
私は相当この人に溺れているみたいだ。
前世では恋人だった人に浮気をされて
誰かを好きになることに臆病になってた私だけど…
こんなに大好きだと思える人に出逢えて
言葉では言い表せないくらい幸せだ。
あまり仕事の邪魔をしてはいけないから
ゆっくりスッと赤井さんから離れようとすると
それを許さないかのように手をグッと掴まれた。
『赤井さ……、っ…』
声をかけると、くるっと私の方を向き
手を少し引っ張られると私達の唇同士が重なって…
ちゅっ、と音を立てて離れると
甘い顔をした赤井さんが私を見つめていた。
「もうすぐ終わる…寝室で待ってろ。」
『っ、はい…』
いつもと変わらない命令形…
でもそれは全然嫌じゃなくて
その口調が出る度に私の心臓は分かりやすく大きな音を立てる。
ドキドキする鼓動を感じながら
私は先に書斎を出て寝室へ向かった。
ベットで横になりゴロゴロしながら数分待つと
赤井さんが寝室に入って来て、私の横に寝転がった。
『早かったですね。』
「…早くお前を抱きたいんだ。」
ドキッとさせられる言葉が耳から入って来たのと同時に
赤井さんは私を仰向けで寝かせて跨っていた。
「今日作ってくれた肉じゃが…とても美味かった。」
『ふふっ、ありがとうございます!』
「安室くんに先に食わせた事は気に入らないが…
俺にはお前というデザートが付いてるからな。」
『なっ…!デ、デザートって……、んっ!』
その発言に驚いているとキスで口を塞がれて
赤井さんの舌が私の口内に侵入し、舌を絡め取られた。
『っ、んん…ぁ…』
「キスだけで蕩けた顔をしてるな?
最高に甘くて、美味そうなデザートだ…」
そんなことを言う赤井さんの方がよっぽど甘いよ…
キスによってぼんやりした頭でそう思ってると
私の服の裾から赤井さんの手が侵入して来た。