第51章 欲求 ✴︎
工藤邸に帰って来てから
赤井さんはキャメルさんと少し話をするそうで
私はその間にご飯の用意をすることになった。
家を出る前に昼ごはん用に作った肉じゃががあるんだけど
気がついたらもうすぐ夕方の時刻…
私達はお昼ご飯を食べるのをすっかり忘れていたから
少し早めの晩ご飯にしようと思い、キッチンに立った。
そして簡単に副菜と汁物等を作り終えた所で
キャメルさんと素顔に戻っている赤井さんがキッチンに入って来た。
「美緒さん、私はそろそろ失礼します。
肉じゃが、とても美味しかったですよ!」
『本当ですか!?ありがとうございます!』
「こちらこそご馳走様でした!
…では赤井さん、自分はこれで。」
「ああ、ご苦労だったなキャメル。」
赤井さんと二人でキャメルさんを見送ってから
私達は昼夜兼用の食事を済ませた。
食事の後、赤井さんは書斎で仕事をするようで…
私は隣で読書をしながら
昼間に友人からあった電話の話を赤井さんに伝えた。
「確か高校の時からの友人って言ってたよな?」
『はい…
彼女には昔から何度も助けてもらったことがあって
私の大事な親友なんです。だから昴さんを
恋人として紹介したいんですけど……だめですか…?』
本当は赤井さんの素顔のまま紹介したいけど
流石にそれは無理だから…
赤井さんの返事を待っていると
空いている予定の日の日付を何日間か教えてくれた。
『本当に…いいんですか?』
「美緒が世話になってる友人だろう?
挨拶くらい構わない。」
仕事で忙しいはずなのに
赤井さんはいつも私の為に時間を作ってくれようとしてくれる…
こういう優しいところに私はいつも惹かれちゃう。
今仕事中なのは分かってるけど
赤井さんが愛しくて仕方がなくて…
椅子に座っている赤井さんの背後に回り、
後ろからギュッと手を回して抱きついた。