第50章 同行
目「しかしねぇ…
こんなビー玉じゃ人なんか殺せないんじゃ…」
「カプセルの中に入れていたのビー玉ではなく重い鉄球で
それを靴下の中に入れ
ブラックジャックという武器にすれば
殺傷能力は格段に跳ね上がる…
撲殺された樋山さんの頭部の傷口に
蜂蜜が付着していのがその証拠……ですよね?仙波さん。」
…やっぱり赤井さんってすごい。
こんな風に推理をする姿を何度か見て来たけど
とても堂々としてて推理も全て的を得ていて…
すごくかっこいい…。
ぼーっと昴さんに見惚れていると
仙波さんは、自分の衣服に返り血がついていなかったことを訴えていた。
しかし江戸川くんの推理によると
仙波さんはトイレで裸になり、体についた血は
お風呂場のシャワーで洗い流し、濡れた体は
トイレットペーパーで拭いてトイレに流したとのことだった。
「そう…あなたはトイレの水が止まらなくなったとでも言い、樋山さんをトイレに呼び、鉄球の入った靴下で殴りつけたんです。
向かいの風呂場の脱衣所に逃げ込んだが扉を破られ
コップを投げて抵抗した甲斐もなく…止めを刺されてしまったんでしょう。」
『で、でも…仙波さんは遺体に駆けつけた時に
足を怪我されたんじゃ…』
「それは自分でガラスを踏んでつけた傷でしょう…
本当は樋山さんの血や蜂蜜がついた靴下も
体と一緒に風呂場で洗い流すつもりでしたが
靴下が濡れたままスリッパを履けば
そのスリッパは不自然に濡れてしまいますからね。」
目「なるほど…確かにスリッパに残ったガラスの破片は
かかと付近にあったのに、スリッパの奥の方にまで血がついていたな…。」
目暮警部は昴さんの説明に納得していたけど……
この前の事件でもそうだったけど
どうして殺人を犯す人達は証拠を消すために
自分自身を傷つけたりするんだろう…。
私にはどうしても犯人の心理が理解できない。
「…まぁ、蜂蜜の匂いに釣られて集っていた
鉄球入りのカプセルは美緒さんが見つけてくれましたし
体を水で洗い流したようですが、
それだけでは血液反応を消すことは不可能かと…」
昴さんが言い逃れ出来ない証拠を伝えると
仙波さんは罪を認めて自供し始めた。