第13章 あんたたちの代わりに
外の空気でも吸おうかと玄関の扉を開けると、雨は既に止んでいて星が綺麗に広がっていた。
息を軽く吐くと、遠くからドミニクさんとお医者様がこちらに向かっているのが見えた。
焦りと不安と緊張で顔が強張っているドミニクさんに「無事に生まれましたよ」と伝えると、心の底から安心したのか今にも泣きそうな表情へと変わった。
しかし、人前だからなのか私の前だからなのか分からないが歯を食いしばり「そうか」と短く返事をし、家の中に入って行った。
お医者様には簡単にサテラさんの様子と赤ちゃんの様子だけを伝え、サテラさん達のいる部屋へと戻るとそこには眉尻を下げ赤ちゃんと会話しているドミニクさんがいた。
昼間に見た厳格な姿はどこにもなく、生まれて来た孫をかわいがる優しいおじいさんの姿がそこにはあった。
キャラが違う、じじ馬鹿炸裂と、エドワードくんとアルフォンスくんは小声で言っていたけど、私はドミニクさんの気持ちが少しだけわかる。
エリシアちゃんの笑顔が頭に浮かび、自然と口が綻ぶ。
無垢で何も知らない彼女は、まだ弱くて守ってあげなくてはいけない存在であると同時に、無償の愛をくれる存在。
彼女が笑顔で「お姉ちゃん」と呼び、小さな手を伸ばしてくれるだけで、私の世界は色を取り戻すから。
彼らもいずれわかる時が来るだろう。
自分たちが愛されているといつか気づく日がきっと来るから。
それまでは何もわからないままでいい。