第9章 ローグ 「一輪のジニア」
「カナタ!お前、心配したんだぞ?!」
そう言って驚くだけの私の頭を強く引き寄せて。2人の焦った顔を見てどれだけ心配させたかが目に見えてなんだか泣きそうになる。
でも、ローグさんはもちろんいなかった。私の考えたことが分かったのかスティングさんが。
「お前ら喧嘩してんだろ?だから、ローグは『俺は行かない方が良い』って。でも誤解すんなよ。アイツが1番お前の事心配してたんだ。受付にどこに行ったか聞いて、調べて。…アイツにも礼くらい言っとけ」
そう言われて、ローグさんにも申し訳ない気持ちになった。あんなふうに避け続けたのに。それはさておき、とスティングさんはしゃがみこんで私の顔を覗き込む。
「それより、お前。変な薬飲まされたろ?」
心当たりしかなくてこくこく頷くと、ユキノさんも不安げに顔を覗いてくる。
「自分の苦痛に感じる記憶を思い出す薬らしいんだ。嫌な事思い出したんだろ。大変だったな」
自分の嫌な過去って。あのカナタが私?
「へ…?私の夢、ローグさんと一緒にいた…。どこかに連れられて…」
確認するように小さくブツブツと呟くとユキノさんとスティングさんは顔を見合わせて、そしてユキノさんが聞いてくる。
「じゃあ、本当にローグさんの言う通り、あのカナタさんだったってことですか…?」
ユキノさんの声が頭の中を通り過ぎていく。あれが本当だったのなら私はローグさんにひどいことをしてしまった。
「助けてくれてありがとうございました!…帰りましょう。早くローグさんに会いたい…!謝りたい」
少しよろめく足取りで走り出す私に2人はまた顔を合わせて。今度は笑って私の歩みを支えてくれた。