第8章 スティング 「貴方は貴方」
「カナタさん!」
これから行くクエストを受付で受理してもらって。ついでに他のクエストも見てみようとクエストボードを見上げているとスティング君が遠くから駆けてくる。
「あ、スティング君。お疲れ様!」
私は慌てて受理された紙を後ろ手に隠した。どうやら彼はクエスト終わりのようで。まだ受付に終了受理はしに行ってないのかな。
「早く受付行っておいで。せっかくクエスト行ったんだから受理してもらわなくちゃでしょ?」
そういう私の前に走ってきたスティング君は自慢げに終わらせてきたクエスト内容を見せてくる。どうやら闇ギルドを懲らしめてきたようだ。
「そうなんすけど、俺、今日こそカナタさんとクエスト行ってみたいんすよね。待っててくれません?」
案の定また。スティング君はいつも私を見る度についていくと迫ってくる。なかなか懲りない。
「そう…、だね。んー、どうしようかな」
悩んでるふりをしながらちらりとクエスト板を見る。スティング君は私の視線を追って言った。
「あ!カナタさんクエスト選んでるっしょ!!待ってって!」
スティング君は急いで受付に走っていく。それを見て私はダッシュでギルドから出ていった。
「あー!カナタさん!!待ってよ!!!」
という声とそれを見た仲間たちの笑い声がギルドに響いた。
ーーー
そのまま列車に乗ってクエスト先へ行く。
ようやくふう……、とため息をついて座った。
窓を見ながら。
別にスティング君が嫌いなわけじゃない。むしろ慕ってくれてるのは可愛いくらい。なんだったらついてくるのがローグ君やユキノちゃんでも逃げる自信が大いにある。
これにはちゃんと理由がある。......長旅だしちょっとだけ思い出してみようかな。
ーーー
昔、私がまだ子供だった頃に村の皆と遊んでいた時、闇ギルドの人達に捕まった。
私だけじゃなくて、一緒に遊んでいた他の3人も。
闇ギルドに着くと一人の子が手もつけられないほど大泣きして帰りたいと叫んだ。
その子は髪を引っ張られてどこかへ連れて行かれた。その子はその後帰ってくる事はなかった。
ーーー
でも残った私たちは比較的普通に育てられた。ご飯は3食あるし、お風呂やトイレもいける。
何で拉致されたのかも分からず1年が経った。