第6章 ロキ 「故郷だから」
そう、この場所は私の生まれた場所。2年前にロキさんと出会った場所だ。こんな居酒屋はなかったけど..
ここの大人達は犯罪を犯させてまでも子供たちにお金を巻き上げさせる風習がある。いい歳の大人が子供に「貴方が頼り」と言い聞かせて子供もそれを信じて。
こんなところだからこそ、ここにはもう来たくなかったんだけど…更に悪化してる?
考えていた瞬間ドンッと誰かに当たった。
「ごめ、…ロキさん!?」
息を切らしながら私を睨んだロキさんの目は動揺しているようで。
「カナタ、ここに来ちゃ…っ、ダメでしょ…!」
グッと手を掴まれたがさっきの痛みで手を振り払った。するとロキさんは目を見開く。そして黙って深呼吸。眉を下げて微笑んで私の手を見つめた。
「…ごめんね、カナタ。君がこんな怪我をする前に来てあげられなくて」
そして私を追いかけていた男の子の方を向いて、少しだけ睨んだ。
「君も。前もこんな事しないって言ったでしょ」
前にも?
男の子はバツが悪そうに下を向く。
「今日話は聞いてやれない。早く帰りなよ」
ロキさんは俯いたままの男の子にそう言い、私の腰に手を回した。
ーーー
お互い黙ったままあの集落を出る。何が何だかよく分からない。
「手、見せて」
沈黙を破って話しかけてくるロキさんの声は優しくて。恐る恐る手を見せた。立ち止まったロキさんは私の手をじっと見つめて。
「ガラス…、中入っちゃってるね。アイツにやられた?」
怪我の周りを指でなぞられる。
「違う。自分でやりすぎちゃった…だけ。とにかくあの子は悪くないから。」
あの子の気持ちも分かるからこそ、そう言う。それを察したロキさんも微笑む。
「そっか」
そして優しく頭を撫でられた。
「…それもそうだけどさ。ごめんね、カナタ。君が僕のことで悩んでたなんて思ってもなかった」
改めて謝られると恥ずかしくなる。私も謝ろうと口を開くと強く抱きしめられた。