第6章 ロキ 「故郷だから」
その瞬間、ミラちゃんは吹き出していてロキさんは目をぱちくりさせていた。
「だから嫌いなの!」
今度こそ腹が立った私は、泣きそうになりながら走って逃げた。
「ロキ。それは、ダメじゃない?」
「……」
ーーー
「何なのあの人…!」
私が悪いと思ってたけどそんなこと無かった。ロキさんはとことん私を馬鹿にしている。
あんなのしてるから本気になって怒る女性が出てくるのに。いつか刺されるでしょ。顔をゴシゴシ袖で拭ってイライラしながらギルドから出て歩き続けた。
ーーー
「…あ」
ロキさんのことしか頭になかったから凄い遠いところまで来てきてしまっていた。
私がもう二度と来たくはなかった場所。目を伏せて来た道を戻ろうと思った時、
「どうしたの?お姉さん」
刺青が体中に入った男の子に腕を掴まれた。黒髪に張り付いた笑みの細身の男の子。
「いや、そういうのほんといいから」
手を振りほどいて早歩きになる。でも男の子も粘り強くまだ追いかけてくる。
「そんなこと言って…1人でこんなとこ来たんでしょ?なんか悩みあったんじゃないの?聞くよ、俺」
そう言われて私は手のひら返しにクルッと振り返って。
「……ほんと?」
「え、うん。」
男の子は驚いたように目を見開いてからすぐににっこり笑った。
ーーー
居酒屋について私はジュースを頼んでからロキさんの愚痴を言い始めた。
「酷いね。その人絶対カナタちゃんのことバカにしてる。俺ならそんな事しないけどな〜」
話を聞きながら相槌を打つ男の子は私の手に触れて。そしてぎゅっと握ってきた。
「…今手を掴む必要ある?」
少し身を引き締めて手を離そうとすると、
「やだな〜。ここまで来てくれたってことはそういう事でしょ」
そう言われてから急に、途方もない眠気に襲われる。彼の魔法か?咄嗟にお酒が入った彼のグラスを叩き割ってその破片を自分の手に刺した。
「…いった」
眠気が一瞬で飛んだ私は手を大きく振って流れてくる血を振り払った。そして持っていたお金を全部机に置いた。
「お金が必要なら回りくどいことしないこと。正々堂々やれっての」
舌打ちをして私は出口に向かった。