第74章 残像
私はこれまで
何度もみんなに助けられて来た…
みんなの存在に何度も救われた…
何があってもずっと友達でいてくれるって
何度も伝えてくれた…
…愛しい夫の零くんは
私の全てを愛してくれている。
だから私は…
何度躓いたとしても、
その都度立ち上がって強くなろうと思えるんだ。
『…諸伏警部、私の周りの人達は
いつも私のことを守ろうとしてくれています。』
「はい。」
『私は…、そんなみんなの事を
これからもずっと…守り続けていきたいです。』
…ボディガードが向いてないなんて
もう2度と考えない。
過去の事を忘れるのは無理だけど
ずっと私が苦しんで、立ち止まっていたら
上司だった前田さんの死が無駄になる。
前田さんが死に際に放った言葉まで
私は忘れてしまうところだった。
"お前はこれからも…たくさんの人を救え…。
そして、守れ…。
お前なら俺の意思を継いでくれる…
信じてるから、な…。"
前田さんはきっと天国で
私のことを見守ってくれているはずだ。
あの人の意思は私の意思…
簡単に絶えさせるわけにはいかない。
「フッ、どうやら吹っ切れたようですね。」
『はい!諸伏警部、ありがとうございます!』
「いえ、私は何も…」
『ふふっ、
そういうところ、弟さんとそっくりですよ?』
「??どういうところですか?」
『んー…、内緒ですっ』
口に出して言うのは恥ずかしいから言わないけど…
諸伏兄弟は、落ち込んでいる私を
いつも優しく慰めてくれる…
今回、諸伏警部は
私が自分自身を見つめ直すキッカケをくれた…
2人とも、本当にありがとう…。
私は心の中で、何度も感謝を伝えた。