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《降谷夢》bonheur {R15}

第74章 残像




諸伏警部が無事だった事で安心した私だけど
一緒にいる上原刑事は
まだあまり落ち着いていない様子だった。



何度もスマホの画面を確認しながら
病室内をウロウロしてるし…


きっと、大和警部が無事に下山出来たかどうか
気になって仕方ないんだろう。






『上原刑事、私が諸伏警部のそばについてますから
県警に戻って下さい。』

「え…?でも……」

『大丈夫、何かあったらすぐに連絡しますから。
…大和警部のこと、心配なんでしょう?』





彼女は否定も肯定もしなかったけど
表情を見ていれば分かる。


大切な人が狙われているんだもん…

きっと、そばにいたいと思っているはずだ。





「それじゃあ…、お願いしてもいいですか…?」

『勿論です。捜査も忙しいでしょうし、
早く戻った方がいいですよ。』

「ありがとう…、よろしくお願いします。」





私に頭を下げた上原刑事は病室を出て行き
彼女を見送った後、私は諸伏警部が横になっているベットのそばにあった椅子に腰掛けて
彼の寝顔を見つめた。






『諸伏くん…、ごめんね…、
大切なお兄さんに…怪我、させちゃった…』




それに…


諸伏警部が大和警部のことを
身を挺して守ろうとしたところを見ただけで
昔の事を思い出して…



頭の中が真っ白になって
助けに向かうのが遅くなってしまった。


大和警部に喝を入れられなければ
私はあのまま過去の残像に苦しんで
立ち上がることができないままだっただろう。



情けなさすぎて、弱い自分に腹が立つ。




結局私は
過去のしがらみに囚われ続けて
いつまでも強くなれないままなのかな…。



いつかまた目の前で
大切な人を失ってしまうのかな…。



そう考えると
何だかボディガードの仕事が
自分には向いていないんじゃないかと思えて来た。





『ボディガード…辞めた方がいいのかな…』




「…なぜですか?」


『えっ…!?も、諸伏警部!?
意識戻ってたんですか!?』

「えぇ、つい先程。」





…だったらすぐに声かけてくれませんかね!?






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