第74章 残像
コ「みんなどいて!!」
思っていた通り
コナンくんはベルトのバックルからサッカーボールを放出し、
以前見たことのある、威力が半端ない靴でボールを氷盤へ向けて蹴った。
その衝撃で氷盤には亀裂が走り、
割れた氷が崩れ落ちていた。
みんなが駆け寄り、水面が見えた瞬間
私は自分が着ていたコートを脱ぎ捨てた。
毛「よし!俺が……っ、て美緒さん!?」
私は毛利さんが飛び込む前に
先に水面へ勢いよく飛び込んで潜り
諸伏警部を探した。
水はかなり冷たくて
一瞬で体が凍えたけど、今はそんなこと気にならない。
ただ諸伏警部を助けたい一心で
下へ下へと潜っていくと諸伏警部の姿を捉えた。
体の感覚が寒さで無くなりつつも
私は彼の体を抱えて水面に戻ることが出来た。
『ぷはっ…、諸伏、警部っ!!
しっかりして…!!』
彼を抱き抱えながら体を揺さぶると
諸伏警部から小さなうめき声が聞こえて…
諸「…ッ、ゴホッ…ゴホッ…」
『っ、よかった……』
咳き込んではいたものの
諸伏警部が生きていたことに安堵していると
高木くんと美和子ちゃんが諸伏警部を引き上げてくれた。
大「ここからだと炭焼き小屋が近い!
そこから救助を呼ぶ!」
高「はい!先に行きます…!」
諸伏警部を背負った高木くんを
美和子ちゃんが後ろから支えている様子を見ながら
私も水面から出ると、コナンくんが先程脱ぎ捨てたコートを持って来てくれた。
『ありがと、コナンくん。』
コ「うん、僕達も行こう。」
コートを羽織りながら頷き
私達も高木くん達の後を追いかけて炭焼き小屋へ向かった。
諸伏警部は呼吸をしていたから
命に別状はないと思うけど…
大和警部を庇った時に撃たれた傷もある為
まだ心配な気持ちが落ち着かない私は
凍える体に耐えながら足を懸命に動かし続けて、小屋へ向かった。