第74章 残像
『はぁ…っ、はぁ…』
毛「くそっ…、何にも聞こえねぇ…!!」
冗談じゃない…
こんな所で、大切な友人の家族を死なせてたまるか…!!
『高明ーーーー!!!!!』
コ「!?!?」
『しっかりしなさい!!
貴方はこんな所で死ぬ人間じゃないでしょ!?』
大「…っ」上「若山さん…」
『あなたの弟さんを…
一人ぼっちにさせる気なんですか!?!?
そんなことしたら…、私は貴方を許さないから!!』
息を切らしながら
必死に大声を張り上げて呼び掛けたが
諸伏警部からの反応は無く…
悔しい思いでいっぱいになり
私は自分の唇を噛み締めた。
『…お願い……、お願いだから…』
諸伏警部…
死なないで…
弟の諸伏くんのためにも…
諦めないで…
『諸伏警部……っ……』
助けたいのに助けられない自分が不甲斐なくて…
諸伏警部を見つけられないもどかしさが溢れ
私の瞳から涙が流れ、
一筋の雫は、氷の上に積もっている雪の上へ
ポタリ、と零れ落ちた。
『…ごめん、諸伏くん……ごめんね…』
あなたの大切な兄さんを
守ってあげられなくて…助けられなくてごめん。
私を信じて頼ってくれたのに
こんな結果になって…ごめんなさい…。
悔し涙を流しながら
心の中で諸伏くんに何度も謝罪を繰り返していると…
パァァァァン
『!!』
毛「!!あそこだ!!」
銃声が聞こえた方を振り返ると
銃弾が氷を突き破って飛び出していて
そこからは氷の破片がキラキラと舞っていた。
大「この下か!!」
全員でその場に駆け付けると
氷には銃弾が突き破ったと思われる小さな穴が開いており、大和警部は自分の杖で氷を叩いていた。
しかし、氷は思っていた以上に厚いようで
何度叩いてもヒビすら入らない。
コ「美緒さん!僕を上に投げて!」
『!!おっけー…!いくよ!!』
少し助走をつけて私に向かって走ってくるコナンくん。
両手を伸ばし、私が手を重ねた場所に
コナンくんの足が乗った瞬間、
私はコナンくんを上へ飛ぶように
両腕を思い切り振り上げた。