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《降谷夢》bonheur {R15}

第74章 残像




『はぁ…っ、急がないと……』




…慣れない雪の積もった道は
少し走るだけで体力を奪われていく。

それでも今は、足を止めるわけにはいかない…。





疲労を薙ぎ払い
大和警部達が向かった方へ引き返していると
山の中に乾いた銃声が響いた。






『銃声…!!あっちの方か!!』




銃声が聞こえた方角へ駆け出すと
その後、何発もの銃声が響き…



間違いなく、犯人と銃撃戦が繰り広げられているのだと悟った。






『どこ…、どこにいるのっ!!』






犯人と、長野県警の3人の姿を探していると
今度は銃声ではなく…



大きな爆発音まで聞こえ、煙が上がっていた。





『!!あそこか!!』





急いで煙が上がっている方へ向かい、
3人が無事であることを祈っていると
再び爆発音が聞こえた。


爆煙が私のいる場所にまで広がってきて
視界が悪くなってしまったが、

樹林の間を目を凝らしながら見渡していると
漸く、大和警部の姿を発見した。





『大和警部…!っ、!!』





彼を見つけることができ、安心したのも束の間……






少し離れた小高い場所から銃声が聞こえ、
大和警部が持っていた拳銃が弾き飛ばされていた。





『っ、まずい…!!』

上「敢ちゃん!!逃げてーー!!」





上原刑事の悲痛な叫びを聞きながら
私は大和警部の元へ向かった。



でも、このままじゃ間に合わない…!!




それでも諦めずに足を止めずにいると
大和警部の横側から、諸伏警部が現れた。





『!?っ、……』






諸伏警部は大和警部の体を突き飛ばし…



同時に、ライフルの発砲音も聞こえた。




ライフル弾は、諸伏警部の脚の一部に当たってしまい…




彼はそのまま崖下へと転落していった。







『っ、う…そ……、どう…し、て…』






体が……震える……。





大和警部を守ろうとした諸伏警部…




その光景が
私を庇って亡くなった上司…



前田さんの姿と重なって見え
あの時と同じ光景がフラッシュバックした私は
足がすくんで腰を抜かし、呼吸が荒くなった。




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