第73章 隻眼
何度かコナンくんの方に視線を向けても
どうやらずっと盗聴中のようで…
真剣な顔をして、思考を巡らせている彼を邪魔しないようにしていると、タクシーは野辺山の山道を登って行き
しばらくすると、大きなパラボラアンテナが見えてきた。
蘭「うわぁ…、すごく大きいですね〜」
「もうすぐ天文台に着きますよ。」
タクシーの運転手と蘭ちゃんの会話を聞きつつ
再びコナンくんに目を向けると、彼の盗聴タイムは終わったようで、今度はスマホを弄っていた。
誰かにメールを送っているようだけど
私が何か突っ込むと、蘭ちゃんに不審がられる可能性もある為、私は何十台ものパラボラアンテナがずらり、と一列に並んでいる圧巻な光景を眺め、しばらくタクシーが走ると、天文台に到着した。
入り口で受付を済ませ、一本道を進んでいくと
建物の屋根に設置されたパラボラアンテナが立ち上がって、ゆっくりと開いていく様子を、探偵団のみんなと阿笠博士は、ミリ派干渉計の近くで見学していた。
歩「あ!コナンくん!蘭お姉さんと美緒お姉さん!」
私達の姿を見ると、笑顔で駆け寄ってくる探偵団の子供達。
雪で冷える気候にも関わらず、元気な姿に笑みが溢れた。
光「美緒さん、お久しぶりですね!」
元「まさか美緒ねーちゃんまで来るとは思わなかったぜ!」
『ちょっと長野に来る用があったし、
せっかくだから天文台も見ておきたいなーって思ったからね。』
歩「じゃあ長野にいる間は
美緒お姉さんとたくさん遊べるんだね!」
きゃっきゃ、きゃっきゃ、と嬉しそうに話しかけて来る子供達に相槌を打っていると、ミリ派干渉計が載っている
黄色の巨大な移動台車の運転席から眼鏡の男性が降りてきて、私達の元に向かってきた。
「江戸川コナンくんと、毛利蘭さん、
若山美緒さん、ですね?
初めまして、越智 豊です。」
『よろしくお願いします。』
…聞けば越智さんは
天文台の教授であり、阿笠さんの大学時代の後輩なんだとか。