第73章 隻眼
捜査資料の確認は終わったし、
メールの画面を閉じようとしたが…
そのタイミングで、風見さんから新たなメールが届き、件名には"追伸"と書かれていた。
『…ふふっ。…ありがとう、風見さん……』
最初の頃は、私の事を零くんの同期、としてしか見てくれなかったから、公安の協力者としてしか接してくれなかったし、何となく警戒されていたような気もしてた。
でも今は…
私のことを1人の人間として、気遣ってくれてる…。
風見さんの優しさに感謝しながら
私は自分の頬を両手でバチッと叩き、気合いを入れ直した。
いつまでも過去に囚われて
気分を沈めたところで何も変わらない。
私には……
大切なものがたくさんある…
失ったものばかりを数えたってどうしようもない。
私は…、今できることを精一杯やるだけ…。
…今を一生懸命生きるって、
零くん達と再会した時に決めたんだから。
それに……今回の任務が成功したら
ご褒美が貰えそうだからね。
追伸
・定期連絡は不要。
・無茶をするのは禁止。
・怪我には注意。
・失敗しても、自分を責めない。
・命を落とさない。
…以上のことを遵守して頂ければ
降谷さんとの時間を何日か作ります。