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我が先達の航海士

第4章 船乗りの休暇


「なっ……貴様!追い打ちか!?」
「へ?どういう事、龍水君?」
よく分からないが額に手を伸ばした。ひんやりしたの手が心地よく龍水が目を瞑る。熱は無さそうだな、と手を離して笑う。ぱし、との離れゆく手首を反射で龍水が取った。

「んえっ……!?」
驚くの身体に腰を回せば簡単に引き寄せられてしまう。彼女は男性に対してあまりにも無防備過ぎるのだ。普段は航海士の制服を着て、男っぽい喋り口調と頼もしさ溢れる雰囲気でグイグイと皆を引っ張る。しかしひとたび船から離れればただの女の子である。

ぽす、との顔が龍水の胸板に当たった。龍水の身体に斜めにもたれ掛かるが上目遣いで訴える。
「ちょっと龍水……!?何してるのさ!」
全く迫力の無い怒るに対してくすくすと笑う。
「いや?貴様はよく危機管理意識が無いとか言われないか?特に異性に対してだ」
その台詞にうっ、とが詰まる。今朝友人にも言われたばかりである。の身体を抱き締めて好きなだけ髪を梳いては慈しむ龍水に、離せー!とが抗議する。

「なんでトモちゃんと全く同じ台詞が出るんだ!私はそんなに異性への危機管理とやらが出来てないのか!?」
「ああ、全然だ。トモちゃんとやらは知らんが、その様子だと友人か?俺も同感だ。貴様にはその手の能力が全く無いッ!!!」
「文夏砲で家を追い出された中学生御曹司に言われたくないッ!!」
龍水が叫ぶをヒョイと抱き上げては大きく広げた脚の間にぬいぐるみの様に軽々と置いた。腰と肩に両手を回してホールドした上にその後頭部に顔を擦り寄せた。微かにだがシャンプーの香りがする。風呂から出たばかりなのか、濃厚なラベンダーの香り。
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