第4章 船乗りの休暇
「フゥン、世間はただの一財閥の御曹司の行動ひとつでそこまで大騒ぎするのか。理解出来んな。たかだか週刊誌の記事だろう?自分の目で俺を見て、何か感想を抱いたわけでもあるまいに」
龍水の意見にも一理ある。今回のは七海財閥が不正をした訳では無い。龍水はまだ中学生だ。子供だからと流す事は出来るのだが、七海財閥は日本企業の総資産ランキングでトップ三本指に毎年必ず入る常連である。そんな大企業でありながら、子供の教育も出来ないのか?と七海財閥への信頼が揺らいでいるというのが実態であろう。
「私らからしたらお金も自分の持つ武器やステータスのひとつだからね。別にそれを使って好き勝手しても、まあまず同じ畑の出の金持ち達は驚かない」
でも一般的な市民は違うんだ、とが言うとチーン!と電子レンジの音。があっためた豚まんを取る前にフランソワが失礼致します、と部屋に入ってきて豚まん二つを置いた。
「龍水君も食べなよ。んー、どう説明したらいいかな」
豚まんを少し冷ましつつ食べるに、龍水も倣い手に取る。熱めのそれに思いっきりかぶりつく。
「あ、あふいな!?」
「あぶな…っ!フランソワさん、すみません!!」
フランソワが部屋の外のキッチンの冷蔵庫から即座に冷えたミネラルウォーターを持ってきた。
「ありがとうございます」
「いえ、お気にならさず」
ぺこりと一礼するフランソワはが引き止める前にサッ!と部屋を出た。主の命令が無い限り同室に居ないのだろう。
「大丈夫か、龍水?ごめんな。事前に注意すれば良かった」
が龍水の近くにぺたん、と両足の先を外に向けて座る。所謂『女の子座り』をするに、龍水がビクッ!と反応した。