第19章 インターハイ予選へ
縁下side
合宿が終わって
体育祭があって
また日々の練習が始まるけれど
インターハイ予選
二週間前
雰囲気がいつもとは違う
どこかピリピリとしたような
でも悪い空気なんかじゃなくて
インターハイ予選へ向けた緊張感からくる
いい雰囲気に自らの背筋もピンと伸びる
そしてまた今日も練習が始まる
「‥‥」
「‥?何難しい顔してんの?」
更衣室で体操服に着替えていると
いつも騒がしい田中が
何かを思案するように腕組みをして
黙って一点を見つめている
「もうすぐ大会だろ」
「うん」
「大会ってなんかこう‥出陣!!って感じで燃えるだろ?」
「うん‥‥まぁ‥‥うん」
「でさ、そこにさ マネージャーとしてだけじゃなくてさ、可愛い花澄が俺の彼女としてさ 龍、明日は頑張ってね!とか言って俺の事ギュッとしてさ‥お守りなんかくれたりしちゃったらさ‥もっと燃えるのにって思ってさ」
話している内容はそんななのに
顔はバカ真面目だ
「そんな事言ってるうちに、レギュラーもらうからな‥あと、白石さんも」
「?!」
あんぐりと口を開けて
まだパンツのままの田中を部室に残して
ウインドブレーカーを羽織って外へ出ると
ちょうどばったり白石さんが前を横切った
『あ!今から体育館?』
「白石さんも?」
『うん!一緒に行こっか!』
いつもの可愛い笑顔
そりゃ俺だって
白石さんが彼女だったら‥なんて思うけど
『‥すまいる』
「っ?!」
『こうしたら、元気分けれるんだって!お母さんが言ってた』
咄嗟のことで一瞬何が起きたか分からなかったけど
そう言いながら無邪気に笑う白石さんが
俺の手をギュッと握っていた
無意識にさっきの田中みたいになってたのか
その様子を見て心配してくれたんだと思う
ギュッと握られた小さな手は
子供みたいにポカポカとあったかくて
にっこりと微笑む姿に心臓がどくりと跳ねた
「レギュラーも‥‥彼女も、絶対に諦めない」
『?』