第17章 東京*
黒尾さんも濡れてるのに先にお風呂に入らせてもらうのはとっても申し訳なかったけど
お言葉に甘えてさきに入らせてもらうことになった
『急がなきゃ‥黒尾さんも風邪ひいちゃう』
濡れてびちゃびちゃになってしまった服をカゴの中にいれさせてもらって
お風呂場の中へ入る
冷えた身体を早く温めようと勢いよく蛇口を捻ると思わず声を上げてしまうほど冷たい水が身体にかかった
それとほぼ同時くらいに黒尾さんが心配してお風呂場へきてくれた
『すみません‥!早く入ろうと思って何も確認せずに‥』
びっくりしたみたいで黒尾さんが私をじっとみたまま固まって動かない
恥ずかしくて両手でなんとか身体を隠しながら声を出すとようやくハっと動き出した
「ごめんっ‥そーいえばさっき水に切り替えたの忘れてたわ‥」
そう言いながらお風呂のボタンをいくつか操作してくれてシャワーから温かいお湯がでてきた
と同時に濡れた床で少し足を滑らせて黒尾さんにもたれかかってしまった
「〜っ?!」
『すみません‥っ!お洋服濡らしてしまって‥』
冷たいシャワーを浴びた私の身体はびちゃびちゃで
もたれかかった黒尾さんの服まで濡らしてしまった
慌てて離れようとするといきなりギュッと抱きしめられる
『黒尾さんっ?!シャワーがもっとかかっちゃいますっ‥それに‥あの‥っ‥恥ずかしい‥です‥』
勢いよくシャワーヘッドからでる温水が黒尾さんのお洋服をさらに濡らしていく
何も服を身につけていない私は恥ずかしくて腕の中からでようともがくけれども強く抱きしめられていて身動きができなかった
「俺も冷えちゃったから一緒に入っていい?」
抱きしめられた耳元で低い声が囁く
『っ!も‥もちろんですっ‥!』
私のせいで冷えてしまった黒尾さん
断るわけにもいかないし
突然のことに正常に頭が回らなくて気付けばそう返事してしまっていた
そしてその返事を聞いた途端に黒尾さんの顔が近付いてきて
そっと唇が重なり合った
『っ?!』
「花澄ちゃんごめん‥俺‥我慢できなくなりそーです‥」
『んぅっ‥』
そっと重なり合った唇がもう一度重ね合わされて
もう二度三度と重なり合う