第3章 下忍・アカデミー編
カルタは、緋願兄弟と昼食を共にし、イルカの言葉通り上忍師の到着を待っていた。
「カルタはだれが来ると思う~?オレ、ゲンマせんせー」
「それはあなたの願望でしょう。ムクロ。」
金色の左眼が煌々と輝くムクロは、木ノ葉の特別上忍である不知火ゲンマに頗る懐いていた。
彼は、身につける物のこだわりが強く、お洒落で最先端なモノをよく気に入る。ムクロにとって、彼の咥え楊枝はお洒落の最先端だったらしい。
余談だが、カルタは、ふたりを簡単に見分ける方法として休日の服装を挙げる。
雑誌の被写体のような格好で出歩くのがムクロで、奇怪な動物らしきものが描かれた、恐らく寝巻きそのままで外出するのがカバネだ。
『なら私は油女シビせんせーかな』
「蟲クンのオヤジじゃん~」
既にいくつかの班は、新しい上忍と共にどこかに移動していた。
カルタらは残された選択肢から、自分たちの担当上忍を当てる賭けをしていた。
ピタリ当てた人は期間限定・桜あんみつを奢ってもらえるのだ。
カバネが、「大穴で」と日向ヒアシに賭けたところで教室の扉がガラリと開き、見覚えのある人が入った。
「第零班は俺とだ。着いてこい」
『成程。』
「僕たち、全外しですね。これは奈良上忍に奢るべきでしょうか」
「鹿ちゃんのオヤジじゃん」
同期である奈良シカマルの父親、奈良シカク──その人だった。
シカマルは予想だにしない父親の登場に目を丸くした。それもそのはず、シカクは下忍の担当を持ったことなどなかったし、そういう性分ではなかった。
「お~シカマル、てめーもしっかりやれよ」
驚きで言葉が出ない息子をあとに、シカクは三人を引き連れて教室を出ていった。