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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第18章 【夏油/悲恋】偽り睡蓮花




「離して、 まだ93人なの!あと7人! あと7人なのに!」


ゆめは腹の底から叫んだ。

涙を流しながら、必死に抵抗した。

だが、両手を拘束具で固定され、呪具で力を押さえ込まれてしまえば、もはや非力な一人の少女でしかなかった。


高専の取調室で、ゆめは朗らかに殺害動機を答えた。



「私が100人殺したら、夏油様はお嫁さんにしてくれるって言ってたの」

「……あと何人足りないんだ?」



尋問官の問いに、ゆめは指を折って数えた。


「えっとね、7人。あーあ、もうすぐだったのに」


その表情には、後悔も恐怖もなかった。

ただ、目標を達成できなかった残念さだけ。

まるで、テストで満点を取れなかった子供のように、不貞腐れた顔で唇を尖らせる。

そして、家入硝子の診察で、彼女の妊娠が発覚した。


「もう一度聞くが……本人は知っていると?」

「はい。『知ってます。夏油様の子です』って、嬉しそうに笑ってましたよ」


家入の報告を受けた上層部は、騒然となった。





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