第18章 【夏油/悲恋】偽り睡蓮花
【記録④ 夢の終わり】
百鬼夜行の夜。
ゆめは誰よりも張り切っていた。
これが最後の大仕事。
これを成功させれば、カウントは100を超える。
「終わったら、夏油様と一緒に……」
頬を染めて呟くゆめの腹部は、僅かに膨らんでいた。
彼女は知っていた。夏油の子を宿していることを。
だが、大事な局面を控えている彼には伝えていなかった。
サプライズで100人駆除を達成した後、新たな命の存在を告げようと決めていた。
きっと喜んでくれる。
きっと、もっと愛してくれる。
そして、新宿の街が混乱に包まれる。
ゆめの糸が、次々と呪術師たちを捉えていく。
一級術師すらも、気づけば操られて同士討ちを始める。
悲鳴が響く。血が飛び散る。
街は炎に包まれた。
「90、91、92……」
ゆめはカウントを続けた。
笑顔で、歌うように。
まるで縄跳びの回数を数えるように。
だが、予想外の事態が起こった。
五条悟の介入。
圧倒的な力の前に、夏油一派は追い込まれていく。
ゆめも例外ではなかった。
「こんな……まだ足りないのに……」
糸を張ろうとした瞬間、無下限呪術が炸裂した爆発に阻まれる。
そして、気絶から目が覚めた時には、高専に拘束されていた。
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