第18章 白虎のお里に行ってみよう
「何でお前が驚いてるのよ。」
少し呆れながら問うと、エニシは気まずげに頬を掻く。
「あ、いや。ちゃんと変化を見たの初めてだなと思いまして。」
「いつも見てたんじゃないの?」
「いんや、何かしながらだったんで、いつも気づいたら変化し終わってるパターンなんですよ。やけに脱ぐの早いなぁとは思ってたんですが…。」
ぶつぶつと言いながら、エニシは二人が脱いだ服を手早く畳んで仕舞う。
カカシはそれを聞いて少し興味を唆られた。
「ねぇ、一回変化の術やってくれない?」
「「え〜。」」
「ちょっとだけでいいから。ね?」
カカシが双子に聞くと、双子は渋々ながら印を組み、シュン…と一瞬でお嬢様の姿になる。
そして、シュン…とまた一瞬で白虎の姿へと戻った。
「ふ〜ん、印を使わないのね。」
不思議な使い方だ、とカカシは思う。
チャクラを練る必要がなく、また、態々印に沿って形作らなくても必要なエネルギー変換が出来るのだと推測する。
「「エニシ、掛けて〜。」」
「はいはい。」
双子はぎゅうぎゅうと彼女にくっつき、マントを体に掛けてもらうとご機嫌な様子でゴロゴロと喉を鳴らした。
エニシは、ふぅ、と息をついていそいそとぶかぶかのマントに包まると、白虎の間に挟まるように座り込む。
「まさか、印を使ってなかったとは…。でも、何で使わない印を態々組むの?」
エニシが聞くと、双子は一度顔を持ち上げて互いに見合わせてから、また蹲る。
「そういうものだと思ってたから。」
「する前の儀式なんだと思ってた。」
「…もしかして、水鉄砲や火炎放射も?」
「「うん。」」
「おっと…。これは最初から見直した方が良さそうだね…。」
「気づいてあげなさいよ…。」
思わずカカシが突っ込むと、エニシは頬を掻いて苦笑いをする。