第18章 白虎のお里に行ってみよう
地図に無い大陸より、西側に僅かに戻った場所に、小さな島とも言えないような無人島が群生するエリアがある。
その一つに移った一行は、火を起こすこともなく、寄り集まって暖を取る。
春先と言えど、吹き荒ぶ海風も相まって、夜は滅法冷え込む。
地熱により暖かかった先程とは打って変わったその寒さに、自然とこの形になった。
あまりの寒さに、来て早々に戻ろうか、と
エニシが言ったのだが、あの臭気を浴びての一晩は耐えられないと、全員が首を振った。
「あ、でもちょっとあったかくなってきたかも。」
寒さで強張っていたエニシは、少し肩の力を抜いた。
だが、双子は一息つくには程遠いらしい。
ガタガタとマントをすっぽり被り、震えている。
「虎に戻っていい?」
「虎のがあったかい。」
「え、ここで?周りから丸見えだけど…。」
遮るものが何もないこの場所では、何とも心許ない。
見かねたカカシは口を開いた。
「土遁で防風林作ったら?」
「防風林を?」
怪訝な顔をするエニシに、カカシは肯定の相槌を打つ。
「お前、土遁得意だったでしょ。小さな土流壁みたいなの作れないの?」
「小さな土流壁…。あ、分かった。」
そう言って立ち上がると、自分達を囲うように小さな壁が次々と建っていく。
傾斜に合わせて、高い所には低い壁を、低い所には程よい高さの壁を建てていくと、海風がいくらか和らぎ、程良い目隠しにもなった。
「よし、OK。戻っていいよ〜。」
「「やった〜。」」
シュン…と音を立てて、双子は一瞬で白虎の姿になる。
それと同時にバサバサっと二人が着ていた服が散らばった。
ーチャクラを練らないのか…?
カカシから見ると、チャクラの使い方が人間のそれとは異なるように見える。
「え?」
隣から声を拾い、カカシがそちらを見ると、丸く目を見開いたエニシがいた。