第18章 白虎のお里に行ってみよう
「「見つからな〜い!!」」
とりあえず、着いてから夕方までの一時間程は頑張って探してみたけど、見つからなかった。
ま、そりゃそうだっていう感想だ。
鬼鮫さんの時みたく、ライアさん達が出てくるわけでもない。
いっそ、出てきてくれればやりようはあるんだけどね。
「止めべ。今日はもう、ここで野宿すっべ。」
持久戦の構えでいかないとね。
そう思って、荷物を置こうとしたら、
「「ヤダ。」」
「せめて海岸に行こうよ〜。」
「臭いのから逃げたいよ〜。」
紗雪、千雪が半泣きで泣きついてきた。
あれま。そんなキツい?
『ぼくもキツい。』
『ボクも。』
ゴンとギンもへろへろになっていた。
「俺も結構キツいかな。」
あら、先生のマスクがいつの間にか二重に…。
「相当ですね、ここ。」
私も、臭いっちゃ臭いけど、慣れちゃった。
人間の適応力って凄いよね。
ってそんな暢気なこと言ってる場合じゃないね。
ここの硫黄の臭いは火山ガスだ。
吸いすぎると体に悪影響を及ぼすこともある。
なんとかせにゃ。
こんな時は…巻物を開いて、と…。
「確か…あった。じゃ~ん、オヒレアの花〜。」
「「「何、それ。」」」
意外と、双子と先生って気が合う気がする。
「火山近郊によく咲く花で、硫黄を無毒化する効能があるんです。中和剤として知られてるんだよ。乾燥したものが売られてたから買ってみた。」
「何でそんな物、買おうと思うの…?」
紗雪がぼそりと呟き、千雪がうんうんと大きく頷く。
「珍しかったんだもん。結構あちらこちらで売ってたから、特産品なんだと思って買ってみたくなったんだよ。」
「で、それどうやって使うのよ?」
先生の問いに、周りを見渡す。
「とりあえず、煙の少ない所に移動しましょ。そこで使い方見せますから。」
ということで、今日の寝床探しが始まった。