第10章 ルーツを探しに出かけましょ
ソウイチが励ます様に肩を抱くと、シュカの顔が綻んだ。
「では、行きます。準備はいいですか?」
問われた面々は頷きを返し、それを見てから彼女はそっと両手に力を込めた。
すると、ぐにゃりと場が歪み…。
「…ここどこ?」
一面、瓦礫の山が広がり、ひゅるりと冷たい風が吹き抜ける。
「さむっ…!」
密閉された場所から急に外へと出れば、体感としては確かに寒い。
エニシの様にじたばたしたくなる気持ちも分かる。
…やらないが。
「ここは…西町ですか?」
白の声に改めて見ると、地形的に西側だろう。
逃げるには丁度良い。
「そうみたいだね。メイさん、このまま抜けましょう。」
「そうね。シュカとソウイチを一先ず避難させるわ。長十郎。」
「はい。ここから近い所へ行きましょう。」
「えぇ。」
「そう簡単には行かせませんよ。」
突然、男の声が割り込んできた。
聞き覚えがある声だ。
カカシは、ずんと重くなる胃を感じながら振り返ると、予想通りの二人が立っていた。