第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「何で!?」
…どうやらエニシは思い至らなかったらしい。
「あなたには留守番を言い渡した筈なんですがねぇ。」
「あー…散歩してたら成り行きで?みたいな。」
鬼鮫の苦言に、エニシは誤魔化す様に笑いながら頬を掻く。
(お前、イタチを探してるって言ってなかったか?)
(ちょっ…!先生…!しーっ…!しーっ…!)
呆れながらぼそりと言うと、隣の彼女は途端に慌てふためいた。
「口止めしなくても全部聞こえていますよ。」
「ひっ…!」
そう言ってニタリと笑う鬼鮫の顔は、エニシでなくても怖いかもしれない、とカカシは思う。
「す、すみませんでした!」
素直に謝るところは彼女らしい。
深々と頭を下げるエニシを見て、鬼鮫は深くため息を溢しながら目頭を摘んだ。
隣にいたイタチがやれやれと言わんばかりに首を振る。
「それよりも妖刀だ。」
「…そうですねぇ。さっさと回収しましょうか。」
「あ、すんません。その妖刀なんだけど、白が選ばれちゃった。」
「「…は?」」
二人の怪訝な顔に、エニシは「てへへ」と誤魔化し笑いをする。
「この妖刀って持ち主を選ぶんだそうで。」
「知ってますよ。妖刀なんて大体そうです。」
鬼鮫が素気無く返すも、エニシは気にする様子もなく「そうなんだ〜」と笑う。
「なんで、白以外が持つとブリザードが吹き荒れるからオススメ出来ないですね〜。ごめんね、イタチ。」
「…はあぁ…。面倒な事を…。」
溜め息をつくイタチにエニシは困った様に笑う。