第10章 ルーツを探しに出かけましょ
暫くして、シュカが落ち着きを取り戻した頃合いを見計らい、メイは彼女に歩み寄る。
「シュカ、ここの抜け道はある?」
先程の様子で、知っていることがあると踏んだのだろう。
問いかけというより、確信がある様な口調だった。
「あるのなら教えてくれない?」
メイがそっと言うと、シュカは一度きゅっと目を瞑るとすっと開いた。
その目には迷いも曇りもない。
「こちらです。」
そう言って、妖刀が保管されていた場所とは別の壁の前に立つと、印を組んでから指先を少し切り、ばっと手を当てる。
すると、ゴロゴロという音と共にブロックが複雑に動き、登り階段が出来上がる。
「皆さん、早く通路へ移ってください。この部屋は間もなく崩れます。」
その言葉通り、何処からともなくギシギシ、ミシミシと嫌な音を立て始めた。
それを聞いて危機感を覚えた面々は素直に開かれた通路へと急いで移った。
全員が部屋を出た瞬間…。
ガラガラガラガラ…
部屋を形作っていた石のブロックが無造作に崩れ、空間を埋め尽くしていく。
「うおっ…!」
エニシの、お淑やかとは程遠い驚きの声に白が少し反応を見せる。
何か言いたげな視線を一度投げるが…、何も言わない。
気持ちは分かる、とカカシは思ったが、こちらも何も言わなかった。
―エニシのこれは昔からだしな…。
女の子なんだから、と思う時もあったが、忍に女の子らしさを求めるのも何とも言えない矛盾を感じる時がある。
―ま、結局は本人の気持ち次第だな。
「ねぇねぇ。この部屋ダメにしちゃって大丈夫なの?」
エニシがシュカに尋ねると、彼女は頷きを返した。
「守り人の役目が終わったのにこの部屋を残しておく必要はないですから。それに、元々抜け道を開いたら崩れる仕掛けになっているんです。」
それを聞いて、エニシは眉尻を下げて肩を落とす。