第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「違反は違反だと私も理解しています。だけど、情状酌量はあるんじゃないかと思うんです。」
「じょうじょうしゃくりょう…?」
聞き慣れない言葉にメイ達は顔を見合わせた。
「あ、えーっと…。何て言ったかな…うーんと…。」
「温情ある裁定、と言ったら分かりやすいかと。」
カカシが助け舟を出すと、エニシの顔がぱぁっと輝いた。
「そう、それです!少なくても斬不斬さん達は私腹を肥やす為にやったんじゃないと思うんです。その正義の心意気は評価に値するんじゃないでしょうか?」
その言葉にメイ達の様子に躊躇いが見えた。
すると、エニシは再び頭を深々と下げた。
「どうか、温情をかけていただけないでしょうか。」
メイ達はそれを見て、困惑気味に顔を見合わせてから、白を見る。
すると、白は黙したまま、すっと頭を下げた。
「二人の正義に免じてどうか…!」
「そこは、あなたの顔に免じてとは言わないのね。」
ふふっとメイは笑う。
その柔らかな空気に、エニシは頭を上げて少し申し訳なさげに笑う。
「私の顔に免じてもらうと今回こっきりになっちゃうんで…。」
その返答に、長十郎は吹き出した。
「ちゃっかりしてる人ですね。」
「…てへへ。」
小さく戯けた笑いを見せると、二人はやれやれと言った風に笑った。
「いいわ。私達も思うところはあるしね。」
「貸し、ということにしておきましょう。」
メイと長十郎が言うと、エニシの顔がぱあっと綻んだ。
「ありがとうございます!」
礼を言うと、ばっと白に駆け寄りぎゅっと両手を握って喜びを露わにした。