第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「すみませんすみません。本当にすみません。」
「度胸があると言うか、肝が据わっているというか…。」
「太々しいっていうのよ、こういうのは。斬不斬がやったことを知っているなら、白を引き渡すのが筋よ。」
謝り倒すエニシを前に、怒りと困惑を綯い交ぜにした長十郎とメイ。
「その、知ってて黙ってたことは本当に申し訳ないです…。その…、失礼ついでにもう一つお願いがありまして…。」
「白を見逃せって言うんでしょ?」
「えと…はい…。里の規律違反だということは重々承知なんですが…。そこをなんとか、見逃してもらえないでしょうか…!」
体を深々と折り曲げて頼むエニシにメイは頭を抱える。
そんなメイに気づいたエニシはガバッと身を起こす。
「白も斬不斬さんもいい人なんです!白なんてそれに加えて心が清らかな子です!」
それを聞いたカカシは思わず小さく吹き出した。
言われた本人は顔を赤くして頭を抱えている。
「感情論は聞かないわ。罪は罪よ。」
メイの拒絶にもエニシはめげない。
「…本当に”罪”なんでしょうか?」
その問いかけに二人は渋い顔をする。
が、彼女はそれでも続けた。
「二人とも性根が真っ直ぐです。正しいと思うことは正しいと、間違ってることは間違ってると貫き通せる人だと、私は思っています。」
エニシはひたとメイを見る。
「もしも…。これは間違いだと、これは承服できないといったことを正しい事としてやり続けなければならない状況があったとしたら、二人はそれを呑み込んだままにしないんじゃないかと思うんです。」
メイと長十郎はその言葉にはっと息を呑む。
「霧が”血霧の里”の異名を持つことは若輩の私でも知っています。」
エニシは少し申し訳なさそうに目を伏せてから、再び二人を見る。
「斬不斬さんと白は革命を起こしたかったんだと私は思っています。間違ったことを正したかったんだと。」
「…だからって反逆は許されることではないわ。」
力ない声でメイが言うと、エニシは小さく頷く。