第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「あなた…。あなた、まさか白なの!?」
「白…?それって桃地斬不斬の!?」
メイと長十郎が漸く気がついて驚愕の形相で叫ぶと、ユリ…もとい白は二人を振り返り、真っ直ぐに見返した。
「あー…これって…。ある意味、絶体絶命?」
エニシは顔を引き攣らせながら、状況を見守る。
「これはもう…報酬は望めないな…。」
カカシは心の中でほろりと涙を流しながら、タダ働きになることを覚悟した。
「報酬無しで済めばいいですけど…。」
「それは、ほら。お前がいるからね。」
エニシが仲介に入るなら、カカシも安心できる。
だが、丸投げされたエニシは目をまんまるくしてカカシを見上げた。
「へ…?何それ!?私頼み!?」
彼はにっこり笑ってエニシの肩に手を置く。
「ま、そいうこと。じゃ、頼むな。」
そう言って、彼女の体をくるりと反転させて、とん、と背を押した。
彼女は、もごもごと小さく文句を言いながらちらりと振り返って彼を少し睨め付けると、メイ達に駆け寄った。