第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「どう?どう?」
「美味しいな。だが、それを上回る驚きがある。この刺激物は何だ?」
「炭酸って言うの。しゅわしゅわして面白いでしょ?しゅわしゅわシロップに果物入れる食べ物をフルーツポンチって言うんだよ。」
そう言いながら口に運んでは美味しそうに顔を緩ませていた。
イタチはそれを微笑ましく思いながらも、スプーンを動かし口へと運ぶ。
果物の優しい甘さとしゅわっとした刺激の組み合わせは二口、三口と食べ進めていくとクセになる美味しさに感じられた。
「ふふっ。気に入ったみたいだね。」
聞こえた小さな声に、はたっと我に返った。
どうやら夢中で食べていたらしい。
ふと器の中を見ると、残り一つになっていた。
「あ、あぁ。」
イタチは少し気恥ずかし気に微笑んだ。
そして気を取り直して、最後の一口をゆっくり味わう。
「確かに美味しいな。程よい甘さと食感が面白い。」
「でしょ?夏の定番と言えばコレなのよ。」
「そうか。」
「今が冬なのが残念よね〜。」
あははと笑うエニシに、イタチはくすりと笑う。
「あ。ねぇ、今度あれ食べてみない?」
次に指を指した先には違う屋台だった。
もくもくと温かそうな湯気が立ち昇っている。
「甘醤油の熱々焼きおにぎりならぬ、焼き団子。アリだと思うんだよね。」
甘醤油の団子といえば思いつくのはみたらし団子。
焼き団子とは、またありそうで無い変わり種と言える。
さっそく出店に赴き、エニシが二人分を買ってくると、イタチに一つ差し出した。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
はふはふと二人で熱々の団子を頬張るのは、懐かしくてどこかくすぐったい気持ちになった。