第37章 ゼロの
会議が一時終了した後、風見さんたちが毛利さんの家宅捜索を行っているだろうという時間を見計らって彼に電話を掛けた。
人目に付かないよう、薄暗い廊下に入って。
そろそろ彼も、情報が欲しい頃ではないだろうか。
「あ、もしもしコナンくん?」
『さんから連絡してくるなんて珍しいね』
「まぁね。
今、そっちに家宅捜索が入ったでしょう?」
『うん。佐藤刑事や高木刑事と一緒に、公安の刑事さんたちも来たよ』
「そのことについて、君に色々話しておこうと思ってね。
今朝、サミット会場で爆発があったことは知ってるわよね?」
『うん』
「元々、私を含めた刑事部、あと公安部と警備部がサミット前に現場を点検することになっていたの。それで、今日の担当が公安部だった」
『だから風見刑事が怪我を…』
「風見さんはビルの外にいたから軽症で済んだけど、何人か死傷者も出ている」
『うん、ニュースで見たよ。
でも、これがサミット中に起きてたら世界中が大騒ぎになってたよね』
「いや、現状警視庁、特に公安部は叩かれまくり。
でね、実はこの爆発、元々は事故で処理されるはずだったの」
『え、事故?』
「ええ。爆発元が地下の厨房で、原因はシステム不具合によるガス漏れ。誰がどう見ても状況は事故だった」
『でも、小五郎のおじさんの指紋が現場で見つかった』
「風見さんがそれを報告してから、一気に事件性が増したの」
『それって…』
「そう、あまりに都合が良すぎるのよ。君はどう思う?」
『うーん…』
すると、電話の向こうで携帯の着信が聞こえてきた。
『あ、ごめんさん!電話掛かってきちゃった!
また何かあったら連絡ちょうだい!!』
「あ、ちょっ!!」
ツーツー
切れた。
てか、電話が掛かってくるって、じゃあ今電話に使っているこれは何なんだ。
そういえば、前にコナンくん携帯2台持ちとか言ってたな。
最近の子には着いていけんわ。