第31章 緋色の
「私の身が危険だということは何となく分かりました。
でも、だからといってあなたに私の行動を制限される筋合いは無い。
自分の身は自分で守れます」
「だから、その域を越していると言ってるんだ」
「だったら、その『組織』についてもっと詳しく教えてくださいよ。
こんな、突然わけも分からない話だけされて、そんなバカげた条件を飲むバカはこの世にいないと思います」
「なら、言う通りに全て教えたら、君は俺の言うことを聞くのか?」
「残念ながら答えはノーですね」
「だろう。だったら、深く知らない方が君のためだ」
何が私のためだ!!
ったく、イライラしてしょうがない。
さっきから母さんがどうとか叔父がどうとか従姉妹がどうとか、もう頭がパンパンなんだよ!
……落ち着け、私。
今日は赤井さんと喧嘩しに来たわけじゃない、少しでも協力者を増やしたくてこの場に来たんだろ。
だったら、今は感情的になってはダメだ。
「……バカは言いすぎました。
1つ目の、今日この場で知ったこと全てを彼に黙っておくという事は約束します。
でも、それ以外の2つはどうしたって了承しかねる」
「…理由を聞こう」
「まず3つ目の私をFBIの保護下に置くというものですが、そもそも私は日本の警察官です。この日本を守ることが、私の仕事です。
そしてそのために、あなた方FBIとは対等な関係でいなくてはならない。守られるだなんて言語道断です。
あと、私のプライドが許さない」
「ほほう。
やはり君は、稀に見る頑固さだな」
「お褒めの言葉として受け取りますね。
次に2つ目の、彼に今後一切関わらないというもの。
あなたから“降谷”という名前が出たということは、赤井さんとコナンくんは彼の正体を分かっているんですよね?」
「ああ」「うん」
「だったら話は早いです。
私は、彼と離れたくありません。理由はそれだけです」
「私情か?」
「私情です」
「…そんな感情1つで、君は命を危険に晒すというのか」
「ええ。そんなの、とっくのとうに覚悟の上なので」
私の決意に満ちたであろう目を見つめ、赤井さんは諦めたように溜息をついた。
「はぁ……バカはどっちだろうな。
頑固な君にこれ以上言っても仕方ないだろうから、今は引き下がってやろう」
「ありがとうございます」