第31章 緋色の
「あ、あ、あああの、わ、私、工藤先生の大ファンでして…!!!
ナイトバロンシリーズが大好きで、!!
え、えと……そう!!今回の『緋色の捜査官』も脚本最っっっ高でした!!!!」
「それはそれは、どうもありがとう」
そう言いながら、工藤先生は右手を差し出した。
こ、これは……あ、あ、握手ぅぅぅ!!!
工藤先生からお手を差し出して下さるなんて、なるたる事や。
恐れ多おくも、私も右手を出してハンドシェイク。
やばい、やばい、やばい。
わ、私手汗大丈夫かな……。
てか、工藤先生にお会い出来るならシャワー浴びてくれば良かった…。
仕事のまま来ちゃったよ。
服だって着古してるスーツだし。
もっとおしゃれしてければ良かった!!
でも、握手して頂けただけで幸せ!!!!
「私、この手一生洗いません!!!」
「それは、やめておいた方がいいんじゃないかな」
そんな様子の私を、ジト目で見つめるコナンくん。
「さん、そんなに父さ……おじさんのファンだったんだ」
「そりゃ勿論!!!今日だって、マカデミー賞はバッチリ録画……って、工藤先生マカデミー賞はどうしたんですか!?」
「あぁ、妻が代理で」
「お、おお、お、奥様が!!??」
あの日本きっての大女優、藤峰有希子様が!?
なんということ!?
「あ、あと、何で工藤先生がこのお屋敷に…?」
「だってこの家、おじさん達のお家だもん」
「え、ここが…工藤先生方のお家……え、えぇぇっ!!??」
た、確かにここは工藤邸だ。
でも、沖矢さんの知り合いのどこの誰かも知らない工藤さんのお屋敷だと思ってたから、まさか工藤先生のご自宅だなんて!!
今世紀最大の驚き!!!
……おいおい待てよ、てことは、私は工藤先生のご自宅でご飯を食べ、眠った事があるということ……!?
や、やや、やばばばばばばばばば。
「ちょ、さん!?大丈夫!?
……ダメだ、完全にフリーズしてる」
「いやぁ、面白い人だな!」
「父さんのせいだぞ」
「お前が把握していなかったのが悪い」