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【名探偵コナン】sangría

第31章 緋色の



何を話しているのかは検討もつかないが、どうやら携帯をぎゅっと握りしめて怖い顔をしている様子が伺える。



『あ、すみません、何か勘違いだったようで。帰りますね』

『ええ』


何事も無かったように顔を上げて、沖矢さんに向かってそう言い放った。



『帰る前に1つ聞いていいですか?
どうして僕のような怪しい人間を家に入れたりしたんです?
普通入れないでしょ?』


その問に、コホンと咳払いをする沖矢さん。


『是が非でも話をしたいという顔をされていたのでつい。
随分、話好きな宅配業者の方だなぁと思っていましたけど』

『はぁ、そうですか』


そうして、あいつは去っていった。












「君は一体、何者なの……?」


事が終わったと思った私は、思わずそう口に出す。
彼は椅子ごとくるりと私の方に向き直ると、ニヒルに笑いながら人差し指を口元へ添えた。

喋ってはいけないという約束はまだ継続中のようだ。

だが、その姿がどうしても小学生には見えなかった…ーー





















「家の中に仕掛けられた盗聴器の類はなかったよ。お疲れ様」

「あ〜〜ちかれた〜〜〜」


沖矢さんが私たちのいる部屋へと入ってきた途端、机に突っ伏すコナンくん。


「あ、あの、沖矢さん」

「あぁ君は確か、さんだったかな?」

「はい?」


まさか名前を聞かれるとは思わなかったので、間抜けな声が出てしまった。
え、私会わなすぎて沖矢さんに忘れられてた?



「ったく、打ち合わせ通りにやってくれよな?
勝手に喋り出すからバレるんじゃないかとヒヤヒヤもんだったぜ」

「上手くいったじゃないか。
基本はこのマスクに仕込まれた変声機で私が喋り、マスクを取れと言われたり、答えにくい質問をされた場合はゴホゴホと二度咳払いをした後、変声期内に内蔵されたスピーカーを通してお前が答える。そして私が喋りたくなったら一度咳払いをする。咳払いで声の違いは分からんからな。
上出来じゃないか!!助演男優賞をもらいたいぐらいだよ!!」


そう言いながら、沖矢さんは首元から一気に皮膚をめくり出した。
いや、皮膚じゃない。マスクか。

そして、現れたその正体は……


「く、くくくく、く、工藤優作先生!!!???」

「やぁ、どうも」


息が止まった。
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