第23章 中継
「とにかく問題の自殺の件で、高木に何らかの恨みを持った人物の犯行である可能性が極めて高い!
詳しい捜査資料を持っている所轄と連携し、被疑者を割出せ」
「「「はいっ!!」」」
松本管理官の指示により、再び捜査が行われた。
ー…四国、北海道、九州。
医大生、英語講師、ホステス。
遺書、カレンダー、酒缶。
ひき逃げ、デート、結婚詐欺師…ーー
何かが引っかかるんだが、それが何か分からない。
何だか、私にとっても重要な何かな気がするんだけど……。
______
そして翌日、
「青柳、例の件はどうだった?」
私は真っ先に、頼んでいたサーバーの捜査の件を青柳に聞いた。
「やはり海外のサーバーを経由していたので、今現地の捜査機関に協力を要請していますが、いつ応えが来るかが読めない状況です。
それに、いくつかの国を経由している痕跡も見られたので、割り出すのには想像以上にかかってしまうかと」
「そう……」
予想通り、いや、予想以上に手の込んだ仕掛けをしていたようだ。
分かった頃には高木くんが凍え死んでしまっているかもしれない。
「…引き続き、捜査をお願い」
「了解です」
すると、ポケットに入っている携帯が震えた。
「はい、です」
『佐藤です。あの、1つ聞きたいことがあるんですけど…』
「何?」
『伊達さんって、彼女いました?』
「……は?何で今伊達の彼女の話になるのよ」
『いや、実は今コナンくん達といるんですが、コナンくんに聞いて欲しいと頼まれたので…』
「え、コナンくんがいるの?
ちょっと、スピーカーにして」
『はい』
そうして、電話の向こうから佐藤の声の他に子供たちの声も聞こえてきた。
「コナンくん、聞こえてる?」
『うん、聞こえてるよ』
「君の言う通り、伊達には彼女がいたわ。
名前は知らないけど、よく彼女の家に泊まりに行っていたみたい。
惚気話を嫌という程聞かされたから」
『……やっぱり』
「何か分かったの?」
『うん。
昨日タブレットを渡したおじさん、『遅くとも明日明後日には駄目になってしまう』って言ってたんだ。明後日のことを、明日明後日って言うのは北海道の方言でしょ?
だから、英語講師で北海道出身のナタリー・来間さんの関係者が、高木刑事を拉致した犯人かもしれない』