第6章 生きてこの先の刻を共に
良かった…骨は折れていなさそう
ズキズキともの凄い痛みは感じるものの、きちんと動く。腰につけている鞄から痛み止めの薬を取り出し、木の皮の模様がついてしまっている部分に急いで塗りたくる。
すると
「…凄い…」
ズキズキとした痛みが、スゥーっとあっという間に引いていった。
…忍の薬って、凄い。これでまだまだ戦える。ありがとう。雛鶴さんまきをさん須磨さん。
立ち上がり、脚にグッと力を込め、激しく戦っている音がする方向へと雷にも負けない速度で向かった。
目に飛び込んできたのは、左目に攻撃を食らってしまったのか、顔を血だらけにしながら残った片方の目だけで戦っている炎柱様の姿。
1秒でも早くたどり着きたいと、
シィィィィ
呼吸をより深いものにしていく。
上弦ノ参の拳を刀身で受け止めた炎柱様だったが、疲れと出血で力が落ちてきてしまっているのか
「…カハッ」
ズルリと刀身を交わした拳が炎柱様の身体に届き
メキッ
骨が折れる音が私の耳に届いた。
…っだめ!
私は残しておいた最後の1本のクナイを上弦ノ参に向け放った。それを上弦ノ参に拳で弾かれはしたが、クナイの先が掠めたようで
「…っ貴様!」
後ろへと飛びのき、私のことをものすごい形相で睨みつけてきた。
スタッ
砂埃を少し立てながら炎柱様の前に降り立つと
「荒山…無事でよかった…」
炎柱様は私に向けそう言った。
自分の方がぼろぼろの癖に…こんな時まで、他人を優先しないでよ…!
「…炎柱様は、少し見ないうちに随分な格好になりましたね」
そんなことを考えていたせいか、私はそんな嫌味にもとれる言葉を発してしまう。
「随分と手厳しいな」
「そんなことより…」
私は腰に付けている鞄から止血剤、そして炎柱様に渡そうと思っていた風呂敷を取り出し、自分の足元に置いた。
「これ、増血剤です。飲んでください。入れ物に入っているのは止血剤。プルプルしているのを出血か所に塗り込めば表面から止血してくれます。あとはこの風呂敷…新しくて綺麗なので血を拭くのに使ってください」
「っそんなことをしている時間はない!一刻も早くあいつの頸を切り落とさねば!」
炎柱様はそう言って私の話を聞いてくれる様子はみられない。